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カラーマネジメント・色彩学・色彩工学・色彩科学の本 徹底まとめ

カラーマネジメントの知識を得るうえで、色彩学・色彩工学・色彩科学の書籍は
非常にためになります。

図書館でいろいろ借りて読んでみました。


左上から順に紹介します。

「色の科学」は色彩学・色彩工学の本。専門的だが、カラーマネジメントについての記載は少ない。モノクロのみ。
カラーマネジメントとしては番外。



「色の用語事典」はざっくりとしたまとめの本。色彩検定用で、ひとつひとつの用語の解説がやや少ない。
分かりやすさ重視。カラーマネジメントとしては番外。



「色彩学概説」は図版が多く、表色系の解説もある。上級者向け。



「色彩工学」はきちんとした裏付けまで分かる色彩工学の本。工学とつくだけあって数式が多い。
間違いのない理論を学ぶならこれ。超上級者向けだが、解説は丁寧。



「色彩科学事典」はかなりの数の共著者で編纂された事典。ひとつひとつが詳しい。この本でないと
きちんと解説されていない用語に多数出会う。ある程度知識がある人が、さらに知識を
増補していくためにある。上級者向け。



「色彩の事典 」は圧倒的にマニアックな内容。価格が2万越えで滅多に見る機会がないと思われる。
色彩学の専門家になりたい人しか読まないだろう。カラーマネジメントとしては番外。



「色のしくみ」は簡潔な解説かつカラー図解のおかげで、分かりやすさでは頭ひとつ抜けている。
カラーマネジメント以外にも、目の生理現象・機能を抑える上でも役に立つ。初心者・中級者向け。



「印刷のための色彩学」は印刷所とかCMYKを取り扱う人向けの本。カラーマネジメントはやや弱いが、
インクの知識が身につく。印刷工場とやり取りしなければ、直接的には関係ないかも。


以下から個人所有の本。

「図解カラーマネージメント実践ルールブック」はカメラマンというよりもやや編集者側よりになるが、ほぼ
直球でカラーマネジメントの知識が身に付く本。最初は難しいかもしれないが、この本に書かれていることが
理解できれば、実践的なカラーマネジメントは十分。Adobe RGBとsRGBの違い、色がずれる原因など、非常に重要な
ことがカラー図解で簡潔にまとめられている。変にカラーマネジメント病をこじらせなければ、これ一冊で
もう色彩学の本も読まなくてもいいと思われる。一番お勧め。
Adobe RGBは知識がないと使いこなせないとか、ネット情報に踊らされている人はとりあえずこれを
読んだほうがいいと思う。ネットでちょこちょこ知識を得るよりもはるかに効率的。



きっちり初心者にも分かりやすくカラーマネジメントを解説している本。やたらに色彩学の専門的な話が載っているわけではないので、
混乱せずに必要な知識だけを身につけることができる。アマチュアカメラマンにはもっとも分かりやすく、的が外れていない本。
プリントすることが多い人にはお勧め。色評価用蛍光灯を色温度別にまとめている本は、この本だけ。
ダウンロードチャートがついているのも嬉しい。



カラーマネジメントガイド」は恐ろしく何がいいたいのか分からない本。安くカラーパターンを手に入れるためだけにある本。
これを読んでも、色温度を何度にしていいのか、ガンマ値はいくつがいいのか、輝度はいくつにしたらいいのかさえも
分からない・身につかない。


その他の本

この写真に載っていない本でも有用な書籍はたくさんあります。



「本格的に始める! 自宅プリントの教科書 」は小さくて薄い本。 PIXUS PRO-10 & PRO-100ごり押しという印象が残る。
最近のプリンターは性能がいいので、カラーマネジメントはソフトウェアよりもプリンターに任せたほうがいいらしい。
有名な方の写真が多いので説得力はあるが、内容は初心者向け。



「写真の色補正・加工に強くなる」は最後の部分にカラーマネジメントについて記載されている。内容がやや短い。
必要なポイントは抑えてあるが、レタッチ〜プリントまで網羅型なので、少し内容薄めなのは仕方ないかな。初心者向け。



「カメラマンのためのカラーマネージメント術」はかなり詳しい。見出しあたりに結論を書いてくれたほうが理解しやすい。
しっかりと本文を読む必要あり。中級者向け。



カラーマネジメント技術」は大学教授のみならず、実際にディスプレイ・プリンターを開発されている方々の共著で編纂されています。
カラーマネジメントというよりも業界の動向を知るような、かなり専門的な本。おそらく直接的にはカラーマネジメントにも
キャリブレーションにも繋がらないかも。
上級者向け。



色彩学の効用・まとめ

お勧めとしてはカラーマネジメント実践ルールブック。簡潔すぎて解説が欲しくなるかも&実際にアマチュア
必要なところだけ知識を得るとなると少し難しいかもしれない。
プリントもする初心者なら「モニターとプリントの色合わせ」。


なぜ色が合わないかを学ぶには色彩学の知識が必要になる。直接的にはカラーマネジメントには役に立たない。
色を知るには目の知識も必要。輝度が変わると色相がずれて見えたり、暗い場所と明るい場所では目立つ色が変わったりすることなど。


キャリブレーションのデータが合っているのかを知るには表色系の知識が必要。
その他照明やディスプレイの知識があるとよい。


プリントを楽しむなら、アートペーパーなど各種プリント用紙の知識もあったほうがいいかもしれないし、
インクの知識(特色とか染料・顔料)の知識があるといいかも。


そもそもカラーマネジメントで一番恐ろしいのは、いきなりXY式度図とかL*a*b*の図が出てきて、
縦軸に何の値をとって、横軸は何を表しているのかさっぱり分からない点にあると思う。


他にも標準観測者の意味を知るには7,000円以上もする「色彩科学事典」を読んでみて、
やっとなんとなく言っていることが分かったかも、となる点。


ひとことでカラーマネジメントといっても、いろんなことが絡み合っているので、
必要なところだけをちょこちょこ学ぶといいかもしれませんね。


ちなみにFacebookでデータカラーとかいろんな会社の記事読むと面白いです。
無料のセミナーとかもやってるので、そういうところに行ってみるのが
間違いなく、話が早いと思います。