そもそもいいディスプレイとダメなディスプレイってどこが違うのか?
ColorMunki Photoの付属ソフトでより正確なキャリブレーションをする方法 - JJsの日記
この記事の続きです。
EIZOのFlexScan SX2461WをColorMunki Photoと付属ソフトを使って、
なるべくRGBのゲイン値を揃えてみました。
ソフトウェアキャリブレーションだけで、補正した場合。
これだけRGBの出力がバラバラの状態で使っているとは、恐ろしいですね。
FlexScanシリーズでもD65、ターゲットの輝度レベルを120にすると、
赤の出力が強すぎることになります。ターゲットの白色点をD55にすると、
RGBのゲイン値は適正には近いのですが、それでも揃っていないことは
事実です。
なるべくRGBゲインを揃えた場合。
やや暗めの中間色が少しばかり暗めに出る以外は、かなり入力値と出力値がほぼ
揃っていることになります。RGBのズレもほとんどありません。
この出力のきれいさは、比較対象がないとあまり分かりませんので、
4年ほど前のTNパネルディスプレイと比較してみます。
なるべくRGBゲイン値を揃えた状態でのTNパネルディスプレイ。約2万円前後の普及機。
コントラスト、輝度、RGBゲインをベストな状態までキャリブレーションしても
これだけ出力が暴れます。特に明るい色を出力する場合は、青色があまりにも強すぎで、
RとGとは全くかけ離れた値となっています。パッと見て、明るい部分が青被りしているので
抜けがいいようにも見えたりしますが、長時間見ると疲れるような色合いになります。
まっすぐ直線状にRGBゲイン値が伸びている&RGBが揃った出力特性を持ったディスプレイは
滑らかな諧調で、豊かな色彩かつ、カメラで撮影した意図を正確に表現できます。
いわゆる違いの分かる、見ていて気持ちのよいディスプレイです。
RGBゲイン値が弓なりだったり、S字カーブのディスプレイは、諧調が潰れやすく、
そのディスプレイで閲覧した写真が変に派手だったり、地味に見えたりします。
RGBゲインが揃っていないディスプレイは、色被りを起こして、せっかくの色合いや
鮮やかさが楽しめないディスプレイです。
下のTNパネルディスプレイのように、これだけ上側にガンマカーブが弓なりになっているディスプレイは、
ガンマの値を変更すれば、もう少し素直な特性にすることもできそうですが、面倒なので、
今回はここまでの調整としました。
カタログスペックでは比較できないのに、ガンマカーブは公表されていない
コントラスト比 1:3000とかいうカタログスペックは全く諧調の滑らかさや黒色の沈み込みのよさを表現しませんし、輝度が高いのも、色表現には全く関係ないので、カタログスペックで
ディスプレイを選ぶのはほぼ困難です。
こうやって入出力特性を計ってみてみて、初めてキャリブレーションしたら、すごくきれいに見える
ディスプレイだと分かったり、キャリブレーションしてもまともに色が出ないディスプレイだなと
分かってきました。
安TNパネルのディスプレイは、ディスプレイ側で輝度、コントラスト値、RGBゲイン値を揃え、さらに
ColorMunki Photoでキャリブレーションを行っても、諧調飛びは抑えられませんし、黒潰れ、白飛び傾向は
補正しきれませんでした。ただ、ここまで手をかけて補正してあげると、
色合いや色の傾向はそれなりにキャリブレーションできます。
色被りが少ないだけでもよしとしましょう。
ということで、1番目と2番目の画像を比較すると、キャリブレーション機器の必要性が分かりますし、
2番目と3番目の画像を比較すると、ディスプレイの実力は値段に比例して違うことが分かります。
長年に渡って正確にキャリブレーションしたいならば、ColorMunki Photoがお勧めですし、
素直な特性を持ったディスプレイとしてはFlexScanをお勧めします。