実践 新説! PCケースとファンのエアフロー実験
パソコンのエアフローを取り扱ったサイトはこれまた
たくさんありますが、実際に組み込んだパソコンのエアフローはどうなっているのか
といったことはあまり詳しく分かりません。
机上の空論に留まらず、実際にPCケース内を流れる空気を実験を交えて
考察していきます。
考えるにあたっての基礎理論:流体力学
机上の空論がよろしくないと言っても、実際に空気の流れとはどんなものかを知っておく必要があります。
今回は以下の書籍を参考にしました。
だいたいの理論を把握するために参考にしたので、小難しい計算式などは
考慮していません。
ものすごくざっくりとまとめると、”圧力の差による空気の移動”っていうことですな。
ちなみに以下の本は読み物としてもかなり面白かったです。
実際のエアフロー
Cooler Master Siliencio550というPCケースのサイドパネルを開け、サランラップをします。
割り箸と糸で作成した簡易エアフロー観察器具:ワリバーシ1号機を使って
実際のエアフローを見てみます。
(実際はワリバーシ1号機の実験後に、深まる謎が噴出し、上記書籍を読み、
エアフロー観察器具:センコー2号機(線香)に取って代わられてしまうがw)
すると、以下のようなことが分かりました。
電源は吸入ファンである
底面吸気の電源は、吸入した空気を、PCケース背面に排気するだけではなく、PCケース内にも排気する。
これがPCケースにやや小さなファンを底面に追加したのと同様の効果を生み出す。
余裕のある電源で、80+ GOLD以上の電源は、効率がよく、12〜14cmのファンがついているため、
吸気としてはあまり問題にならない程度の温かさの空気をPCケースに送り込む。
(gifアニメーションです。止まっていたら、マウスオーバーすると動くようです。)
80+ GOLD以上の電源は、そんなに温まらないので、以下のようなスリットから
ケース内に空気を送り込むことができる。
底面吸気にせず、上面にファンを向けた場合は、電源は排気となってしまう。
PCケースはなるべく正圧を保ったほうがいい為、底面吸気のほうが優れている。
もちろん、電源の位置はケース上面よりも底面にあったほうがよい。
ワリバーシ1号機による考察
ワリバーシ1号機によるPCケース内のエアフロー実験によって、
以下のようなことを考えた。
(gifアニメーションです。止まっていたら、マウスオーバーすると動くようです。)
1. 吸入は赤マル 排気は青マル。 これは少しだけ合っている。
背面には水冷用の穴が開いているため、ここからもわずかに排気されると考えた。
ワリバーシ1号機は細かな部分が分かりにくいため、吸入か排気かよく分からぬので
そういったことも間違えてしまう。
実際はわずかに水冷用の穴からは吸気されているが、ほとんどと言っていいほど吸気
されず、実際には空気の出入りはゼロに近い。
2.吸入は全面ファン2つ+電源で、吸入される面積は排気ファン1つよりも広い。(黄色の線)
吸入部分の面積としてはだいたい合っているが、実際は、たったひとつの排気ファンの
排気効率のほうが上回っており、ケース内はわずかに負圧である。
これはサイドパネル部分に張ったサランラップがPCケース内面へ引き寄せられていることからも
分かる。
これが窒息型静音PCケースの問題で、結構根が深い。
また次回取り上げる。
3. オーディオボードがあるおかげで、吸入された空気が一か所に集まり、流れができる。
(青の流れに赤マルの点線図)
これもだいたい合っているが、実際の空気の流れはもう少し複雑だった。
こうやって一か所に集まる際に、吸入される面積よりも狭い部分を通る空気は、加速する。
実際冷えたPCケース内は以上の図に近いが、温まってくると、PCケース内の温度分布が
変わってきて、空気の流れが変わってくる。
まとめ
圧倒的に底面吸気が有利。エアフローの点においても、上面に電源がくるPCケースよりも底面に電源が設置できるPCケースのほうがよい。
電源は底面にファンを向けて設置すれば、吸気ファンとして働く。
PCケースやファンだけが、エアフローを決めるものではないことが分かる。
グラフィックボードやオーディオボードの長さ、大きさ、配置によってエアフローが変わり、
「空気の抜け」がよいPCケースかどうかが変わってくる。
もちろんあまりにも大きすぎるCPUクーラーやごちゃごちゃし過ぎた配線も、エアフローを
阻害する原因となるのは明白。
またもうひとつ分かってきたこと。
PCケースファンにおける最大の問題点は、どんな場所にどうやって取り付けたかによって
カタログスペックの風量と違ってくる点。
静音ケースの弊害などはまた次回に続く。
ケースファン 比較
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